世界のサッカーで使用されているボール

サッカーボールと聞くと、白と黒にはっきりと色分けされた球体を思い浮かべる人が多いことでしょう。これは、五角形の黒いパネル12枚と、六角形の白いパネル20枚の合計32枚の革パネルによって形作られた切頂二十面体のボールのことを指しますが、これが試合球としてデビューしたのは1970年にメキシコで行われたワールドカップです。当時はカラーテレビの普及が本格化した時代で、プレーをする選手とともに切頂二十面体の試合球も衛星生中継を通じて世界中の人に印象づけられました。

実は、多角形の革パネルでサッカーの試合球がつくられるようになったのは1960年代からで、それまではゲーリックフットボールとほぼ同じようなデザインのものが試合で使用されていました。1970年代から2000年代前半にかけては、表面のデザインは変わりながらも切頂二十面体の形は維持され続けましたが、コーティングにプラスチックが採用されるなど、素材はより水分を吸収しにくいものに変化しています。

21世紀に入り、サッカーの試合球は大きく様変わりしています。革パネルは複雑な形状が採用されるようになり、枚数もどんどん少なくなっています。2014年のワールドカップの公式球はたった6枚のパネルの組み合わせで真球に近い形状が表現されています。製法については今日も職人による手縫いが主流とはなっていますが、2000年代半ばに熱融着によってパネル同士をくっつける方法が開発されてからは、こちらの手法でもたくさんの球が生産されています。